麻生太郎首相は、事業規模が26.9兆円となる追加経済対策を発表した。
これは、バブル崩壊後の不況が深刻化した小渕政権で実施された経済対策を上回る規模。
国が実際に財政支出する「真水」部分も5兆円にのぼっており、財政悪化は一層進みそうだ。
追加経済対策の目玉となっているのが、定額減税に代えて幅広い世帯に総額2兆円を給付する「生活支援定額給付金(仮称)」。
このほかにも、高速道路料金の大幅値下げ、過去最大規模となる見込みの住宅ローン減税などを掲げている。
小渕政権の経済対策では、数兆円規模の公共事業が柱となっていたが、今回は3千億円程度にとどまり、公共事業を通じたバラマキはすっかり影を潜めた。
ただ、定額給付や住宅ローン減税、高速料金値下げなどは「選挙民が現金を受け取るか、現金の節約につながる施策ばかり。
かつてより露骨なバラマキ」と指摘する声も一部である。
追加経済対策は、政府主導で検討された8月の経済対策と異なり、衆院選を見据えた与党が検討を先行させたことで、選挙民向けの施策が目白押しとなった。
麻生首相の指示通り、財政投融資特別会計の積立金など「埋蔵金」から財源を捻出することで赤字国債の増発は回避したが、5兆円の財政支出が国債残高の増加につながることには変わりない。
追加経済対策の目玉とされる定額給付についても、財政悪化や今後の増税が影響して貯蓄に回れば景気浮揚効果も限定的になるとの見方も出てきている。