政界きっての税財政のプロであり、経済対策の旗振り役でもある与謝野馨経済財政担当相はさきごろ、2009年度の日本の経済成長率はマイナス成長になる可能性が高いという認識を示した。
政府は12月、2009年度の経済見通しを取りまとめる予定だが、政府見通しとしては初となる「マイナス予想」が現実のものとなる可能性が高まってきた。
内閣府が11月17日に発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)では、物価変動を除いた実質ベースで前期(6〜9月期)比0.1%減、年率換算で0.4%減となっており、7年ぶりに2期連続のマイナス成長を記録した。
また、日銀は10月時点で、日本経済の実質成長率を2008年度は0.1%、2009年度は0.6%と予想したが、その後も経済は好転しておらず、2008年9月中間決算も業績は下方修正の嵐となった。内閣府の数字は景気後退の進行を裏付けたわけだ。
こうした状況も踏まえつつ、政府は経済見通しの取りまとめ作業に着手しているが、景気浮揚の責任を負う政府がマイナス成長を予想したことはいまだかつてない。
有効な政策を打ち出せないと自認することになるからだ。
そこで、政府は10月末に事業規模27兆円の追加経済対策を発表し、麻生太郎首相も景気対策を最優先する姿勢を強調。
今後もあらゆる手段を講じていくと宣言している。
そんななかで与謝野大臣が見せた「白旗」に、市場では真意をいぶかる声が広がっている。