2008年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の改定値が年率換算で前期比1・8%減と大幅に落ち込んだ。
この結果、2008年度はマイナス成長となることが確実になった。
マイナス成長、IT(情報技術)バブル崩壊後の2001年度以来7年ぶり。
今回の景気後退局面とITバブル崩壊時の不況との最大の相違点は、海外経済の状況にある。
アメリカの2001年の景気後退では、IT関連の在庫調整と株価下落が問題となったが、在庫調整のテンポは速く、調整は長引かなかった。
中国など新興国経済も豊富なマネーに支えられ、米国経済に先んじて回復。
2001年度に7・9%減だった日本からの輸出も2002年度には11・5%増と急回復し、日本経済は輸出増に支えられて後退から脱した。
また、ITバブル崩壊後は、世界的な投資資金の収縮が起きなかったことも大きい。
これまで世界経済の成長のけん引役だったアメリカの個人消費は、住宅バブル崩壊で一気に冷え込んでいる。
国際金融市場では資金が一斉に枯渇し、金融危機が直撃した欧州各国や新興国経済も景気の後退や減速は避けられない。
日本の景気後退脱出のカギを握る輸出の早期回復も見込めず、10月以降は自動車、電機業界が一斉に生産・雇用調整に踏み切っている状況だ。
アメリカの不況が深刻化し、日本を含めた世界経済の成長モデルそのものが崩壊の危機に立たされており、外需依存度の高い日本経済の不況の長期化に懸念が高まっている。