衆院で与党が強行採決に踏み切ったことで、総額2兆円の定額給付金を盛り込んだ2008年度2次補正予算案と関連法案は、年度内の成立にめどを付けた。
ただ、この採決に先立ち、政権批判を繰り返してきた渡辺喜美元行政改革担当相が自民党を離党。
さらに、自民党の松浪健太・内閣府政務官(当時)も給付金批判で採決を棄権するなど「造反」が広がった。
採決に先立ち自民党執行部は、渡辺氏以外に波乱はなく、一連の騒動でむしろ党内の結束が強まったと踏んでいた。
給付金への不満を抱く若手を中心に締付けを強めていたためだ。
それだけに松浪氏が採決を棄権した衝撃は大きかったといえる。
そもそも定額給付金に対して自民党内では「(公明党に)選挙でお世話になるから賛成するが、あまりできがよくない」(加藤紘一元幹事長)との見方が大勢。
報道各社の世論調査でも否定的な見方が7割以上を占め、麻生太郎首相の方針のぶれも手伝ったことで、「選挙にはむしろマイナス」と、実施に固執する執行部に対するあつれきが強まっていた。
補正予算は30日で自然成立するが、関連法案の成立には衆院で3分の2以上の賛成を得て再議決する必要がある。
与党の16人が造反すればこれに達せず、給付金の支給はできなくなるだけに政局は当面、波乱含みの展開となりそうだ。
政府・与党は今年3月にも関連法案の再議決に踏み切る方針だが、国民の批判が収まらなければ造反の動きが一層広まる可能性もある。