2008年10〜12月期の実質GDP(国内総生産)成長率が、マイナス12・7%(年率換算)減と約35年ぶりの大幅なマイナス成長となったことを受け、政府は、景気底割れ回避のため追加経済対策の検討に入った。
中川昭一氏の辞任に伴い、財務・金融担当相も兼務することになった与謝野馨経済財政担当相は、就任会見で「私に与えられた使命はいかに経済危機に立ち向かうかだ」と述べ、金融安定化と追加経済対策の検討に意欲を示した。
これまでも麻生政権の経済政策の司令塔だった与謝野氏だが、財務・金融・経済政策という経済運営の要所を名実ともに総括する体制となった。
秘書官は5人と、6人の首相並み。
権限面では「副首相級」(経済官庁幹部)と言っても過言ではない状況だ。
焦点となる追加経済対策をめぐっては、与党幹部が「20兆円、30兆円。
いろいろな議論がある」と述べるなど、大規模な財政出動を求める声が高まっている。
これに対し、与謝野氏は「その規模には根拠がない」とうけながしたが、「政治家はプラグマティズム(実際主義)の固まりみたいなところがある」と述べ、必要に応じた財政出動の可能性も含ませた。
追加対策の仕切り役として注目が集まる与謝野氏だが、麻生政権の支持率は下がる一方。
与党で「麻生首相には追加対策はやらせられない」との麻生降ろしが高まる可能性もあり、深刻な景気悪化をよそに、政局絡みの展開となりそうだ。