3月末の決算期をにらみ、政府が企業の資金繰り対策を加速させている。
金融機関の貸し渋り傾向は依然として強く、資金繰りに行き詰まった企業による連鎖倒産が懸念されるためだ。
「もはや公的資金の活用をためらう状況にない」(政府高官)と政策を総動員して対応する構えだ。
財務省は3月3日、公的資金を活用し大企業や中堅企業に低利で融資を行う日本政策投資銀行の緊急融資制度について、これまで1兆円だった融資枠を最大1・5兆円に拡大すると発表した。
海外に進出している日本企業向けには、国際協力銀行(JBIC)を通じた緊急融資制度を拡充。
外貨準備として政府が保有するドルから約50億ドルを3月中にJBICに貸し出す計画だ。
経済産業省も日系企業の海外子会社の資金繰り対策として、日本貿易保険に新たに1兆円の支援枠を設定する対策を公表。
経済の血液であるマネーの流れを潤沢にする方針だ。
背景には「景気が厳しさを増すなか、日本企業の国内外における資金繰りの厳しさが(年度末に)第2の山を迎える」(与謝野馨財務・金融・経済財政担当相)事情がある。
貸し渋りの直撃を受けた中小企業に加え、世界的な景気後退で資金の出し手が急減した影響で、これまで社債などを発行して市場から直接マネーを調達してきた大企業の資金繰りも悪化している。
とくに海外の場合この傾向が顕著で、健全な財務内容を維持しているにも関わらず、資金繰りの悪化で経営が行き詰まる企業が続出する懸念が高まっていた。