
追加経済対策の策定に向け、麻生太郎首相が有識者から意見を聞く「経済危機克服のための『有識者会合』」が3月16日から始まった。
100年に1度の経済危機克服の処方せんをオールジャパンで探る試み。
各分野から延べ83名が参加し、景気浮揚に向けたアイデアを提供するが、立場によって意見の隔たりが大きく、「言いっ放し」で終わる懸念もある。
政府は現在、水面下で追加策の検討を進めているが、深刻な景気の落ち込みを受け、大規模な財政出動を求める声が強まっている。
一方で、霞が関主導の従来型の手法では「公共事業など代わり映えしない対策しか出せない」(政府関係者)ジレンマを抱えていた。
そこで、専門分野を基礎にした大胆な提言を集め、国内に広がる閉そく感を打破することが有識者会議の狙いだ。
学者やエコノミストに加え、日比谷公園の「年越し派遣村」の中心になった湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長ら幅広い人材を参集したのもこのためだ。
3月21日まで、雇用、金融、環境など10分野について意見を聴取する。
ただ、1テーマの会合は1時間半程度。
1テーマにつき平均8名の有識者が意見を述べるため、議論を深める時間はほとんどない。
首相と距離を置く与党議員からは「自分たちに都合のいい意見だけを取り入れることも可能で、単なる霞が関の『アリバイづくり』で終わる懸念もある」と冷めた見方も出ている。