追加経済対策に盛り込む減税案を巡る自民党と公明党の調整は、最終局面までもつれ込んだ。
焦点になった贈与税の減税を巡って、公明党が「金持ち優遇だ」と噛みついたからだ。
一方で、自民党は公明党が追加経済対策に盛り込むように求めた、子育て支援手当の新設や、医療費自己負担額の軽減について、「恒久的な支出を伴うばらまきだ」(自民党政調幹部)と難色を示した。
経済対策を巡って、図らずも両党の立場の違いが露呈したかたちだ。
贈与税減税は、1400兆円の個人金融資産の約7割を保有する高齢者から若年層への所得移転を促し、消費を活性化するのが狙い。
高齢者に比べて若年層は子育てやマイホームの購入など消費性向が高い。
現在は年110万円までは無税で贈与できるが、それ以上の金額の贈与には、10%〜50%まで6段階の累積税率がかかっている。
麻生太郎首相が3月28日、遊説先の高知市で「年度を区切ってゼロにする案は検討する価値がある」と述べ、一気に検討課題に浮上した。
実は贈与税減税はかねてからの首相の持論。
政調会長時代の2003年には、相続時にすでに支払った贈与税で相続税を精算できる制度の導入に尽力した経緯もある。
ただ、「いまどき贈与税を払うほど資産があるのは一部の金持ち。
総選挙を控えて優遇批判は避けたい」との声が自公両党から上がり、とくに支持者に低所得者層が多い公明党の抵抗は強かった。