政府が昨年12月に閣議決定した税財政改革の「中期プログラム」(中プロ)に、見直し論が急浮上している。
中プロは2010年代半ばにかけた中期スパンで、持続可能な社会保障制度のあり方、それに伴う財源確保策を打ち出している。
とくに、消費税の社会保障目的税化、2010年代半ばまでの増税方針がポイントだ。
中プロに見直し論が浮上したのは、政府・与党が4月10日に打ち出した、財政出動規模15兆4千億円の追加経済対策がきっかけだ。
与謝野馨財務・金融・経済財政担当大臣が、「景気悪化や相次ぐ財政出動でプログラムの前提条件が変わった」と発言し、経済対策の発表文に、「財政の持続可能性を確保する観点から、累次の経済対策として実施させる措置を踏まえ、『中期プログラム』について必要な改定を早急に行うこととする」との一文を滑り込ませたのだ。
与謝野氏の心況は、「目先の経済危機を切り抜けるため財政で大盤振る舞いするのは仕方ないが、国債発行の増加などを考えれば、中プロの改定で財政規律の保持をより強く打ち出すべきだ」といったところだろう。
ただ、財政規律の手段として真っ先に思い浮かぶ消費税増税は、中プロに盛られた税制改革部分が、今国会で成立した所得税法改正案の付則として立法化されている以上、手をつけられない。
与謝野大臣は6月に経済財政諮問会議で発表する「骨太方針」にプログラム改定案を盛り込む方針だ。
消費税増税の制度設計に大きな影響を及ぼすだけに注目されるところだ。