
2009年夏の財務省定例人事で、加藤治彦・主税局長が勇退し、古谷一之・主税局審議官が後任の主税局長に昇格する見通しとなった。
加藤氏は主税畑を長年務める一方、主計官や官房の政策立案を担う総合政策課長も務め、自民党の国会議員にも顔が広い。
2007年7月に主税局長に就任した際は、安倍内閣による消費増税を見据えた本格布陣とうわさされた。
しかし、その後の安倍内閣の退陣や、サブプライムローン問題を発端にした金融危機ぼっ発で消費増税は棚上げに。
2011年度までに消費増税を含む税制抜本改正に着手することを定めた中期プログラムの策定と改正所得税法の附則による立法化を置き土産に、国税庁長官に就任予定。
一方、後任の古谷氏も加藤氏に劣らぬ税のエキスパート。
主計局の主査や故・宮沢喜一蔵相の秘書官も務めた。
柳沢伯夫・元自民党税調会長の信頼も厚い。
ところで、つい1カ月前まで今夏の主税局人事は加藤局長の留任説がもっぱらだった。
それが急きょ1年前倒しの交代となったのは、2009、2010年度が税制抜本改正の制度設計の山場に当たることを重視したため。
古谷局長が今後2年間の改正作業を総覧する布陣だ。