
衆議院が7月21日解散され、8月18日公示、同30日投開票の選挙戦に事実上突入した。
「安心社会の実現」を掲げる自民党に対し、民主党は「政権交代の実現」に向けて政策を訴えるが、財政状況が極めて厳しい状況にあるなか、財源の確保が大きな争点になりそうだ。
7月12日の都議選敗北後の「麻生降ろし」の動きなど、党内のごたごたが続いた自民党に比べ、民主のマニフェスト(政権公約)づくりが先行している。
月7万円の最低保障年金などの年金制度改革や月2万6千円の子ども手当の創設、農家に対する個別所得補償などの骨格を作り、詳細化の作業を進めている。
一方、自民党も小泉構造改革路線による格差の拡大など、ひずみの修正を目指した「安心社会実現」のスローガンの下に、幼児教育の無償化や大学の奨学金制度の拡充などを検討している。
両党の違いが明確なのは消費税をめぐる主張だ。自民は景気回復後の消費税増税を打ち出す一方で、民主は、4年間は消費税を引き上げない姿勢を示している。
だが、民主党がマニフェストに盛り込む政策の実現には16・8兆円の財源が必要とされる。
同党は無駄な事業の排除や、特別会計の積立金など「埋蔵金」の活用で財源の確保は可能としているが、自民は「政権を取るまでの政策が幻想や空想であることはやむを得ないかもしれないが、本当にできるかが問われる」(与謝野馨財務・金融相)などと批判を強める。
どこまで実現可能な具体的な政策を有権者に示すことができるかが、今回の選挙で問われそうだ。