
8月18日公示の衆院選で、自民、民主両党がそろって政権公約での天下り廃止を打ち出したことで、霞が関の中央省庁の官僚に動揺が広がっている。
官僚の間では「公務員の給与水準は民間一流企業の役員に比べて低く、天下りは必要悪」「優秀な人材が確保できなくなる」など抵抗する声が強い。
民主党が天下りの廃止を打ち出したのは、「官僚が出身省庁と関係が深い独立行政法人や特殊法人に天下ることが、補助金など税金の無駄遣いにつながっている」との問題意識があるからだ。
民主党はこうした補助金の改革で6兆円の財源を捻出するとしており、天下り見直しはいわば表裏一体だ。
民主党の攻勢に押されて、官僚と二人三脚で政治を進めてきた自民党も天下り廃止を打ち出した。
キャリア官僚は40代後半から、次官や局長などに昇任する場合を除き早期退職する。
指揮命令系統が通ったピラミッド型組織をつくるための「明治以来の伝統」(財務省幹部)だ。こうした早期退職者を処遇するのが天下りだった。
自民、民主両党とも天下り廃止の代償として「定年まで働けるキャリア制度づくり」を掲げるが、役所内では「机上の空論。次官の同期が何人もいる役所で組織としての統制がとれるのか」との声がもっぱら。
霞が関の士気は低下するばかりだ。
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