民主党の衆院選大勝を受けて、政権移行までの間に開かれる国際会議に自民旧政権の閣僚が出席するべきかどうかをめぐって、各省の対応が割れている。
財務省は、9月4、5両日にロンドンで開かれたG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議に竹下亘副大臣が出席する一方、経済産業省と農林水産省は、3、4日にインドで開催の世界貿易機構(WTO)の非公式閣僚会合に二階俊博経産相と石破茂農水相が欠席した。
「新政権でも旧政権でも、重要な国際会議には閣僚が出席するのが国益」というのが国際コンセンサスだが、政権交代に不慣れな日本は、手探りの対応だ。
WTOの非公式閣僚会合は、貿易自由化を進めるドーハ・ラウンドの来年中の決着を目指して議論の最終スケジュールを決める重要な会議。
欠席について石破農水相は「政権が代わる以上、わたしが出るのは不適切」と説明。
二階経産相も「わたしが欠席しても(官僚の代理出席で)対応できる」と話している。
ただ官僚のプレゼンスが高い日本と違い、
「海外では閣僚が主役、官僚は黒子の役割分担がはっきりしている。発言力も閣僚のほうが圧倒的に上」(経済官庁幹部)
というのが常識。
政権交代と重要な国際会議がぶつかり、旧政権の閣僚が出席することもざらなだけに、両省の対応には疑問の声も出ている。
一方、体調不良で与謝野馨大臣が欠席したとはいえ、副大臣が出席した財務省。
過去には塩川正十郎財務相がG7を欠席し、日本の為替政策に不利な声明を採択された歴史もあるだけに、幹部は「日本のために副大臣が出てくれてよかった」と胸をなでおろしている。