事業承継税制の申請受付が、9月1日からスタートした。一定の要件を満たせば、株式にかかる贈与税が10割、また相続税が8割猶予され、場合によってはそのまま免除されるとあって、事業承継に悩む経営者から大いに注目を浴びた同税制。
だがその要件が公開されると「厳しい」「途中で適用外になるのが怖くて申請できない」という声が相次いだ。
申請開始から10日たった9月11日現在の申請者数は、「2件」という。
納税猶予を受けるためには、相続発生前に事業承継に関する計画的な取組みが行われたという経済産業大臣の確認を受ける必要がある。
ただし、被相続人が60歳未満で死亡した場合、後継者がすでに過半数の発行済議決権を単独で有している場合、公正証書遺言により取得する株式と合算すれば発行済過半数を単独で有する場合は大臣確認なしでも認定を受けられる。
ちなみに、大臣確認の申請数は9月11日現在で58件。
同制度の問題は制度適用の厳しい要件。
認可を受けたものの途中で要件を満たさなくなれば、猶予されていた相続税を延滞税付きで納める必要が出てくる。
税理士からは「顧客には勧められない」といった声が聞かれる。
一方、中企庁担当者は、「法律制定の目的は『地域経済の活力維持』と『雇用の維持』で、雇用8割維持などはいってみれば事業承継税制の柱。変更の予定はない」と話す。