
賃貸住宅のオーナーの間で有力な節税策として広まっていた「自販機節税法」が、禁止される見通しとなった。
消費税は最終消費者が支払うのが原則。
業者が仕入れなどの中間段階で支払った消費税額は後日還付される。
消費税法30条では、
『売上げの95%以上が課税対象なら仕入れにかかった税を戻す』
と規定しており、俗に「95%ルール」と呼ばれる。
ただ1991年の法改正で家賃には消費税がかからないことになったため、賃貸住宅の売上げに当たる家賃収入は課税対象外の売上げとなり、その仕入れに当たるアパート建設費に支払った消費税は還付を受けられないはずだった。
ところが自販機をアパート開業前に設置し、自販機売上げのみの段階で税務署に申請すれば、95%ルールをクリアし、アパート建設費まで仕入額としての還付対象にできる。
建設費2億円のアパートなら1千万円が戻ってくる計算だ。
しかし会計検査院は10月、全国で自販機節税による税収減が年間90億円に達するとして、財務省に見直しを求めた。
これを受けて政府税制調査会も11月16日、ひそかに決めた今年度の検討課題のひとつとして、自販機節税への対処策の取り決めを内定した。
財務省幹部は「限りなく脱税に近い節税措置だ」と憤り、法改正も辞さない構えだ。