省庁の税制改正要望が出揃い、今後本格的な議論が行われることになるが、それとは別に、「要望にない項目等」という資料が政府税制調査会(会長=藤井裕久財務大臣)でこのほど、配布された。
この資料には、来年度以降も適用期限の残る租税特別措置(租特)も含まれており、「あの租特は来年も当然使えるだろう」と思い込みは、痛い目をみる可能性も出てきている。
今回の資料に盛り込まれた租特は、
@譲渡益課税の対象となる公社債の範囲の拡充
A小規模宅地等の課税の特例
B農業経営基盤強化準備金制度
C特定目的会社に係る課税の特例
D石油化学製品製造用揮発油(ナフサ)に対する免税措置。
たとえば、A小規模宅地等の課税の特例については、
「現行では相続後に事業等を継続しない場合など、制度趣旨に照らして必ずしも的確とはいえない場合でも一定の減額を受けることが可能」
と問題視された。
租特の検討は、無駄を洗い出すプロジェクトチーム(PT)が選定基準を設けて、優先度や緊要性の高いものか、政策目標がすでに達成されていないか、適用数が特定の者に偏っていないか――などによって判断することを決めていた。
これまでは、期限が到来する措置のみが検討の対象となるとみられていたが、今回の資料が示すように、期限とは無関係に存廃が議論されることが明らかとなった。
峰崎直樹財務副大臣も租特の見直しについて、「毎年行うべきもの。これで終わりではない」と意気込む。