経済界からの猛反対を押し切り、亀井静香前金融担当大臣主導で導入された「役員報酬公開の義務化」。
上場企業で1億円以上の役員報酬をもらっている人の名前と報酬額を個別開示するというものだが、上場企業ならぬ中小企業にとっても役員報酬は悩ましい問題。
特に「定期同額給与」の減額では、改定が恐いという経営者は多い。
定期同額給与は、「支給時期が1カ月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における額が同額であるもの」で、会社は損金として算入できる。
業績悪化などの影響で役員給与にも手を付けざるを得ないケースも少なくないが、勝手に減額したことで定期同額ではないと見なされ、損金不算入になり結局、増税というケースもあるので気を付けたい。
業績悪化を理由とした減額については、
@業績悪化
A取引銀行との借入金の返済協議
B経営改善計画に役員給与の減額が盛り込まれた
以上、3点いずれかに該当すれば、定期同額として認められるようだ。
また、これらの条件に合致するか判断が付かない場合、いっそのこと「役員給与を未払い」にしてしまおうと考える経営者もいるかもしれないが、当局は、「未払いの役員給与は、基本的には定期同額給与としては認められない」(国税局法人課税課)とキビシイ。
一方、「未払いとなった理由がやむを得ない事情に基づくもので、その状態が解消されたら速やかに精算できる程度の短期的な未払いであれば、定期同額給与として認められる可能性はあるのではないか」(税理士)という見方もある。
この場合、「未払い計上した役員給与は、必ずその事業年度内に支給する必要がある」(同)という注意事項を忘れてはならない。
また経理の現場では、給与の支払いと同時に役員から借り入れをすることで調整する手法もよく行われているようだ。