主要国の銀行監督当局でつくる「バーゼル銀行監督委員会」（本部・スイス）は７月１６日、２０１２年末の導入を目指して策定を進めている新たな自己資本規制「バーゼルⅢ」の一環として、各国の金融当局が景気状況に応じて銀行に求める自己資本比率の水準を変動させることができる枠組みを提案した。
各国の関係者の意見を聞いたうえで、１１月の主要２０カ国・地域首脳会議（Ｇ２０サミット）での合意を目指す。
バーゼルⅢは、２００８年秋の金融危機の再発を避けるため、銀行の経営基盤を安定させる目的で導入が決まった。
現行規制の「バーゼルⅡ」では、国際展開する銀行は、総資産に対する自己資本の比率を８％以上、普通株や優先株などで構成する「中核的自己資本」は４％以上とする必要がある。
バーゼルⅢでは、中核的自己資本のうち、普通株と利益剰余金に限る「狭義の中核的自己資本」を新設し、一定比率以上の確保を求める。
しかし、固定された自己資本比率規制は、景気が悪化すると、銀行が自己資本比率の低下を避けるため、資産を減少しようと貸し渋りに走り、景気悪化に拍車をかけてしまう問題があった。
提案では、バーゼル委が自己資本比率の上限と下限を設定。
景気が過熱して貸し出しが過剰となった場合、各国の金融当局がそれぞれの判断で、国内の銀行に求める自己資本比率の水準を引き上げ、自己資本の積み増しを求める。
１年以内に達成できない場合は配当支払いや役員報酬を制限する。
また、景気が悪化した場合は、必要な自己資本比率の水準を引き下げて、貸し渋りを抑制する。
