財務省の今夏の定期人事異動は、丹呉泰健事務次官が勇退し、勝栄二郎主計局長が昇格、後任の主計局長に真砂靖官房長が就き、上層部は既定路線通りに進んだ。
注目を集めたのは「消費税シフト」の様相となった主税局。
特徴的なのは、課長以上のほとんどが留任した点だ。
中江元哉総務課長兼税制第一課長の税制第一課長兼務を解き、第一課長に藤井健志主計官を据えた以外は、昨年夏に就任した古谷一之局長をはじめ、新川浩嗣税制第二課長、安居孝啓税制第三課長、諏訪園健司調査課長がいずれも続投となった。
田中一穂審議官は「次の主税局長」のポストでもある国税庁次長に就いた。
現行の主税局幹部メンバーは「(昨年の民主党による)政権交代後の税制改正をそつなく乗り切った」と財務省内では評価が高い。
菅直人首相が参院選前に表明した「年度内の消費税を含む税制抜本改革の取りまとめ」に手腕を発揮させようとした。
しかし、参院選での民主党の大敗が誤算となった。
人事が発令される段階では、すっかり消費税議論は下火になり、永田町では「年度内の税制抜本改革の取りまとめは不可能」との声が主流に。
財務省幹部は「10年に一度のチャンスだったのに…」と嘆くばかりだ。