内閣府がまとめた2010年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、日本経済が力強い成長を実現するために、法人税の実効税率を引き下げ、企業の収益力強化を図ることで家計の所得を増やすべき――と提言した。
白書では、日本の法人税の実効税率(約40%)が先進国で最も高いとしたうえで、経済協力開発機構(OECD)諸国では、実効税率が20〜30%の国が国内総生産(GDP)に占める法人税収の割合が最も高いとの分析を示し、税率の引き下げが必ずしも税収を低下させない、いわゆる「法人税パラドックス」を持ち出した。
鳩山・御手洗では冷え込んでいた政府と日本経団連の関係も、菅・米倉に変わって関係改善に動いており、両者が会談する場面も増えてきている。
自民党も参院選マニフェストで法人税率引き下げを盛り込んでおり、民主党が踏み込めば、今年の税制改正大綱の大ネタになる可能性もある。
ここで課題となるのは財源問題だ。
政府税制調査会は、税率引き下げと引き換えに課税ベースの拡大を求める方針で、租税特別措置の大幅削減は避けられない。
ただ「ナフサを除けばほとんどない」(財務省幹部)といわれる企業関係の租特には限界があり、難題のナフサ租特の取り扱いや非課税企業の条件厳格化などが焦点になりそうだ。
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