国税庁はこのほど、平成22年度税制改正で延長された「特定居住用財産にかかる買い換えにおける長期譲渡所得の特例」について通達を改正し、改正内容とその趣旨について明確にした。
同特例は、今年度改正により「譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円を超えるものを除く」という要件が追加された。
趣旨説明によると、同特例については、昨年の政府税制調査会で「高額な譲渡益が発生しているにもかかわらず課税を行わないことは税の公平性を損なう」との指摘があった一方、現在の厳しい経済状況下では「住宅・不動産の流動化を促進し、ライフステージに合わせた住み替えを引き続き促進するための税制支援が必要」といった意見もあったことから、2億円の金額要件を設けたうえで延長されたとしている。
また、同要件における2億円の判定には、
(1)譲渡資産が店舗兼住宅だった場合、特例の対象となる部分や譲渡対価の額をどのように算出するのか
(2)譲渡資産の一部を贈与している場合はどうなるのか
といった疑問が生じるが、今回の通達改正により、
(1)については、通達中に明記された算式に基づき計算すること、
(2)については、高額な居住用財産の一部を贈与することで要件をクリアすることを防ぐため、譲渡の年の前後2年以内に贈与がある場合、譲渡対価の合計額に贈与時の価額を含めて判定すること
などが示された。
このほか、「土地等の先行取得をした場合の課税の特例」「特定の土地等にかかる長期譲渡所得の特別控除」についても同様に通達が改正され、その趣旨内容について明確にされている。
国税庁 ホームページ
・特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例