平成22年度税制改正の目玉「グループ法人税制」が10月1日以降の取引からいよいよ適用開始だ。
とくに、対象の大前提となる「完全支配関係」についてしっかり確認しておきたい。
完全支配関係とは、会社の発行済み株式の総数を100%保有している関係を指す。
完全支配関係には、
(1)一の者による当事者間の完全支配関係
(2)一の者との間に当事者間の完全支配関係がある場合の法人相互の関係
がある。
(1)はシンプルで、Aが子会社Bを完全支配している場合のAB間の関係。
(2)はAが完全支配するのがB社とC社など、兄弟会社がある場合のこと。
完全支配の判定は発行済み株式などを100%保有しているかどうかであって、事業上のつながりがあるかは考慮されない。
全く別の業種であっても、完全支配関係にあるならグループ法人税制が適用される。
頂点となる「一の者」は個人・法人を問わない。
個人が完全支配の会社を持っている場合、「一の者」は「1人」という意味ではない。
頂点が個人のときは、親族などいわゆる同族関係者をまとめて「一の者」とされる。
株主らの関係を明確に把握しておくことが必要だ。
頂点が個人・法人の違いは、税務上にも影響する。
たとえば、兄弟会社の間で寄付金のやりとりがあった場合、頂点が法人であればどちらにおいても益金・損金不算入。
しかし頂点が個人だと、通常通り寄付した側は損金算入限度額を超えた金額を損金不算入、受け取った側は全額益金となる。