2010年10月29日

霞が関で早くも“木枯らし1号” 原因は首相煎りの雇用税制

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

菅直人首相が政府税調に対して出した、雇用促進税制の検討を求める指示が官僚の間で波紋を広げている。
その一節は官邸が主導して盛り込んだもので、どこかの官庁が要望したわけではなかったからだ。

雇用促進税制は、雇用の増加に応じて企業の税負担を軽減する措置
官邸側は仙谷由人官房長官が主導して、菅首相が言う「雇用、雇用、雇用」を政策に落とし込もうとした。
新たな減税となるため、官邸の動きを察した財務省は直前に猛反発したが押し切られ、財務省幹部は「青天のへきれき」と吐き捨てた。

経産省も決して積極的な姿勢ではない。
経産省は法人税率の5%引き下げを年末に向けての税制改正作業の「大玉」としたいため、余計なモノは抱えたくないからだ。
厚生労働省にしてみれば、すでに同じような趣旨の補助金を実施しており、政策が重複してしまうので戸惑いがある。

政府税調雇用促進税制を検討するプロジェクトチームが設置されたとしても、このままでは推進役が不在になる。
首相指示には「措置を平成23年度税制改正で講ずる」とあり、同じ指示でも「同23年度予算編成・税制改正作業の中で検討して結論を得る」となっている法人税率引き下げよりも期限が前。
一から検討するには残された時間は少ない。

もっとも、新成長戦略実現会議そのものが、党代表選を控えていた菅首相がリーダーシップを発揮する姿をアピールするための場だった、との見方が強く、「2回目はないのでは」との冷めた声も官僚から聞こえる。
狙いとは逆に、菅首相の霞が関での指導力の低さを浮き彫りにしてしまった。
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2010年10月27日

税制PTが新メンバーで再始動 座長に中野寛成氏

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

民主党政調に設置された税制改正プロジェクトチーム(PT)が、菅改造内閣の発足にともないメンバーを改め本格始動した。
財務副大臣に起用された五十嵐文彦衆院議員に代わって、座長には自社さ連立政権で税制改正に携わった中野寛成元衆院副議長を起用。
財務政務官に就任した尾立源幸参院議員の後の事務局長には、古本伸一郎前財務政務官が就き、党と政府が入れ替わるかたちになった。

税制改正PTは週2〜3回のペースで総会を開き、11月上旬までに主要な租税特別措置の改廃方針をまとめ、11月末には法人税率引き下げや所得税の控除見直しなどの議論をまとめて政府税調に提言する予定だ。
併せて、地球温暖化対策税(環境税)を集中的に検討する小委員会も設けて、民主党が考える環境税のありようを政府税調に提言する。

昨年9月の政権交代後、党税調が税制改正大綱をすべて決める自民党政権時代の「二重権力」の払拭を目指した鳩山政権は、民主党税調を廃止し、政府税調に機能を一元化して、平成22年度税制改正に臨んだ。
その結果、政府税調は各省の副大臣が省の利害を代表して主張する場になり、議論は暗礁に乗り上げ、年末ぎりぎりに小沢一郎幹事長(当時)が党要望を突きつけて、政治的に難しい課題を決断できた。

民主党内に再び「党税調」が発足したのは、不透明と批判された党要望のプロセスを「見える化」すると同時に、税に詳しい議員を養成する狙いがある。
ただ、総会ではまだ深みのある議論には至っておらず、財務省内には「ちゃんと提言をまとめられるのか」と心配する声すら漏れ始めている。
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2010年10月22日

リコールで交換や返金 補償で代替えならば圧縮記帳

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

ホンダは先ごろ、駐車ブレーキに不具合があるとして、軽自動車「ライフ」のリコール回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。
対象車は平成20年10月〜同21年9月製造の8万1261台。
自動車がリコール対象となった場合、メーカーが無償修理を行うが、自動車に限らず、リコールの対象商品は一般的には交換や返金などの手段で補償を受けることになる。

このような場合、補償を受けた側で、利益として認識する必要があるのかどうか気になるところ。
無償修理については、資産の増加とする必要はなく、税務上の処理は発生しない。
これが代替資産との交換となった場合、新規取得価額をそのまま計上するわけではなく、法人税法47条2項の規定により圧縮記帳することになる

一方、返品・返金となった場合は、返金と同時に新規資産を取得すれば同法同条1項により圧縮記帳が可能だが、取得しなかった場合は雑収入として計上する必要がある
さらに、商品を使い続けることはできるが瑕疵(かし)があるなどで損害賠償金を得た場合、損害賠償金は雑収入として処理することになる。

電子政府の総合窓口 e-Gov(イーガブ) : 法人税法


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2010年10月20日

グループ法人税制いよいよ適用 寄付金は従来通りのケースも

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

平成22年度税制改正の目玉「グループ法人税制」が10月1日以降の取引からいよいよ適用開始だ。
とくに、対象の大前提となる「完全支配関係」についてしっかり確認しておきたい。

完全支配関係とは、会社の発行済み株式の総数を100%保有している関係を指す。
完全支配関係には、
(1)一の者による当事者間の完全支配関係
(2)一の者との間に当事者間の完全支配関係がある場合の法人相互の関係
がある。

(1)はシンプルで、Aが子会社Bを完全支配している場合のAB間の関係。
(2)はAが完全支配するのがB社とC社など、兄弟会社がある場合のこと。
完全支配の判定は発行済み株式などを100%保有しているかどうかであって、事業上のつながりがあるかは考慮されない
全く別の業種であっても、完全支配関係にあるならグループ法人税制が適用される。

頂点となる「一の者」は個人・法人を問わない。
個人が完全支配の会社を持っている場合、「一の者」は「1人」という意味ではない。
頂点が個人のときは、親族などいわゆる同族関係者をまとめて「一の者」とされる。
株主らの関係を明確に把握しておくことが必要だ。

頂点が個人・法人の違いは、税務上にも影響する。
たとえば、兄弟会社の間で寄付金のやりとりがあった場合、頂点が法人であればどちらにおいても益金・損金不算入。
しかし頂点が個人だと、通常通り寄付した側は損金算入限度額を超えた金額を損金不算入、受け取った側は全額益金となる。

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2010年10月15日

菅続投で税調再始動 課題は「ねじれ国会」への対応

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江貴之

菅直人首相と小沢一郎前幹事長が真っ向から対決した民主党代表選は、菅首相の大勝で幕を閉じた。
菅首相続投で、小沢氏が廃止を示唆した党政策調査会が存続する見通しとなり、党政調直属の税制改正プロジェクトチーム(PT)が政府税調と並行して税制改正を議論する今年の枠組みもほぼ確定。

さらに、税制抜本改革・社会保障PTも、菅首相の再選を受けてようやく発足する。
このPTでは、今後の社会保障の在り方とその財源となる消費税増税について議論する見通しだ。
税制改正PTでは地球温暖化対策税環境税)や法人税率引き下げが主な論点となる予定で、税制抜本改革PTとはすみ分けをしていくことになっている。

民主党はさらに、税制抜本改革PTを超党派による消費税議論の場に位置付けようとしている。
超党派で真剣に社会保障と財源について議論すれば、消費税増税は避けては通れないのではないか、というのが民主党側の思惑だ。

ねじれ国会では、税法も含めてすべての法律が与党単独では成立できず、野党との協力が不可欠。
政府税調では制度上、超党派の議論はできないため、党政調がその役割を担うことになる。
民主党は野党の協力を取り付けて、消費税率引き上げへの道を開こうとしているが、菅首相のリーダーシップが問われてくる。

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2010年09月17日

各省税制改正要望の呆れた中身 ―― 財源なき減税が横行

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

政府税制調査会は8月末、各省庁からの平成23年度税制改正要望を締め切った。
減税要望が増税要望を上回り、野田佳彦財務相が各省庁に要請していた、減税要望には相当する財源を確保するペイ・アズ・ユー・ゴー原則の徹底はないがしろにされた。

今後、税調の議論で焦点となりそうな要望の中でも、最も「大玉」で減収額も最大なのは、経済産業省が要望した法人税の5%引き下げだ
経産省はその減収幅を1兆円と見込んだが、1%当たり2千億円という試算基準は、税収が低かった同22年度の法人税収6兆円をベースにした数値。
この10年間の法人税収をベースにすると、1%当たり3千億〜5千億円の減収にまで拡大するため、5%下げた場合の減収幅はさらに膨らむと財務省はみている。

経産省は見合う財源を明示しておらず、財務省幹部は「財源の確保をまずは徹底するように要請する」と心中は穏やかではない。
法人税の減税は、政府の新成長戦略の目玉となっている政策で、新たに発足させた新成長戦略実現会議でも主要テーマとして取り扱われる見通しだ。
経産省は官邸主導の成長戦略を盾に、ナフサ租特の恒久化も要望しており、このままでは財務省との全面対決にもなりかねない
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2010年09月14日

油断できない秋の調査シーズン 赤字会社を注視する当局

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

会社が赤字だからといって「調査なんて来ない」と思っていたら大間違い
中小企業の7割が赤字という中、税務当局は赤字法人も厳しく見ている。
調査先としてまず調査官に選定されやすいのが、前期は黒字なのに今期になって赤字に転落した会社。
売上のごまかしは利益操作においてよくある手段。
社員ではなく社長自らが独断で売上除外を実行しているケースも多く、調査官も売上関係は警戒している。

多額の貸し倒れ損失がある場合も厳しく追及される。
貸し倒れの損失計上のタイミングが、いかにも黒字が出たタイミングに合わせているようだと、否認されるケースがある。

社長を中心とした役員給与まわりは、赤字や黒字関係なしに税務調査の大きな山場。
「定期同額給与」については資金繰りの都合などで支払うことができず、未払い処理しているケースがあるが、未払いにしたからといってすぐに全額が損金不算入とはならない。
しかし、未払いの状態が長く続いてしまうと、実質的には期中減額と変わりなくなる。

役員給与を未払い処理したなら、その理由、未払い給与の清算時期などを書面で示しておいたほうがいい。
また社長の家族が役員になっているときは、家族役員の勤務状況と仕事内容がチェックされる。
家族役員への給与額が適正だと主張できるようにしておきたい。

ところで、税務調査というと「法人税の調査」ばかりに意識がいってしまうかもしれないが、消費税・源泉所得税・印紙税の調査もある
これらは、会社が赤字でも税額が発生するのが普通だ。
特に消費税は、売上ミスが発覚すると、法人税と連動して修正になるケースが多いので気を付けたい。

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2010年09月10日

証券優遇税制、延長へ ―― 円高不況で市場下支え

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江貴之

金融庁は8月31日、平成23年度税制改正で、同23年末に期限を迎える証券優遇税制の延長を財務省に要望した。
初は優遇税制を廃止し、証券税制抜本改革することも検討されたが、欧米の景気先行き不安を背景に円高株安が進行する中、優遇税制を延長して株式市場を下支えする必要があると判断した。

証券優遇税制は、上場株式の配当や譲渡益にかかる税率を本来の20%から10%に軽減する措置
証券市場の活性化を図るため、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させようと同15年度に導入された。
その後、同18年のアメリカ発金融危機を受け、株価対策として同21年度税制改正で3年間延長された。

一方、民主党内では優遇税制廃止の機運があった。
民主党は、個人投資家に証券市場への参加を促すため、上場株式や株式投資信託の配当と譲渡損益に加え、預金金利や先物取引など金融商品に関する損益を通算して課税する「金融商品の一体課税」の導入を推進している。
しかし、預金金利の税率は20%で、優遇税制の適用される株式配当や譲渡益と異なっているため、一体課税の導入には、まず税率の一律化が必要だった。

金融庁は7月末から金融税制調査会(座長・大塚耕平副内閣相)で優遇税制の廃止や一体課税導入の議論を進めていた。
しかし、8月に入り、外国為替市場で円相場が1ドル=83円台に突入。
輸出企業の業績悪化が懸念され、日経平均株価が9千円を割り込んだため、優遇税制の性急な廃止は困難と判断した。

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2010年09月08日

企業の「ノーマイカーデー」 通勤手当税務で当局文書回答

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

地球温暖化の一因ともされる温室効果ガスの排出抑制に向けた“エコ”な取り組みが日本全国で盛んになっている。
企業が行う「ノーマイカーデー制度」もそのひとつ。
毎月、一定の日をノーマイカーデーと設定し、当日は自動車を使った通勤から公共交通機関を使った通勤へと切り替えるというものだ。

ノーマイカーデーの実施にあたって問題となるのが、通勤手当の取り扱い。
通勤手当には、給与として課税されない「非課税限度額」が設けられているが、その金額は通勤形態により細かく区分されており、
(1)自動車通勤の社員
(2)自動車+公共交通機関で通勤する社員
それぞれ金額が異なってくる。
そのため、通常は自動車通勤している社員にノーマイカーデー専用の定期券を支給することで、通勤手当の区分が(1)(2)のいずれに該当するのか判断に迷ってしまいがちだ。

これについては、仙台国税局がこのほど、(1)として取り扱うことを文書回答している。
通勤手当非課税限度額は、社員が「常例」とする通勤手段をもとに判断されるが、ノーマイカーデーは多くても月に数日程度なので「常例には当たらない」というわけだ。
つまり、すでに非課税限度額相当の通勤手当を支給しており、それに加えてノーマイカーデー専用の定期券を支給すると、定期券相当額が給与となるので注意が必要だ。


仙台国税局 文書回答事例
ノー・マイカーデー制度を利用する従業員等に対し、通勤手当に加えて通勤用定期乗車券が別途支給される場合の非課税となる通勤手当の限度額の取扱いについて

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2010年09月06日

国際協調を口実に新税? 狙いは「航空券」課税――

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

政府税制調査会は9月上旬にも、国際課税に関する小委員会を始動させる。
国際連帯税の導入や移転価格税制の見直しが主な検討課題になる見通しだ。
特に国際連帯税は、地球規模の問題への対策のひとつとして国際的に注目が集まっている。
すでにフランスや韓国などでは、国際連帯税のひとつで国際航空券に課税する航空券連帯税が導入されている。

これは、飛行機に乗ることができる豊かな人に課税し、貧しい人々に再分配する概念の税
欧州では、国際線のファーストクラス、ビジネスクラスに10〜40ユーロ、エコノミークラスに1〜4ユーロを課税している国もある。
税収を賛同する国々が設立した国際組織に集め、途上国支援に充てている。

岡田克也外相が国際連帯税に熱心で、外務省は来年度の税制改正要望に同税創設を提案する方向だ。
国際連帯税創設を目指す超党派の議員連盟も設立されており、ねじれ国会でも自民党の協力が期待できる。
民小委員会は当初「専門家の先生が検討するだけ」(財務省幹部)になりそうだが、平成22年度の税制改正大綱でも「国際連帯税の検討を早急に進める」としており、実現に向けて動き出そうとしている。

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2010年09月03日

「オタクたち萌える夏」 自作コミック“バカ売れ”で税務は――?

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

コミックマーケット、通称「コミケ」が東京ビッグサイトで開催された。
メーンは同人誌即売会。
同人誌の作り手は学業や仕事の合間に作っている人が大半。
ほとんどがもうけ度外視で趣味の世界を楽しんでいる。
しかし中には数千部を売る“売れっ子”もいて、税金問題に戸惑うオタクも多い

一般的な給与所得者の場合、趣味で同人誌を売った所得は「雑所得」に該当する。
ほかの所得と合わせて20万円以上なら確定申告が必要だが、最近はインターネット上で同人税務を指南するサイトもある。
こうした一部の情報に、「同人活動による所得は事業所得で申告するとトク」というものがある。
事業所得であればほかの所得と損益通算できる。
同人活動が赤字なら事業所得で申告して給与所得を圧縮しよう、というわけだ。

しかし、「趣味としての同人活動は、個別判断にはなるが、一般的には事業所得としては認められない」と税務当局は指摘する。
事業所得は、その経済活動が「自己の危険と計算において、独立的に、営利性・有償性を有し、かつ、反復継続して営まれる業務であって、社会通念上事業と認められるかどうか」によって判断される。
どのくらいの時間を同人活動に充てているのかも重要だ。

同人活動を事業として申告・損益通算できるのは、売れているか売れていないかではなく、客観的にみて「あの人は商売人だ」といえるような専業同人作家になるのだろう。
同人活動の経費としては
(1)イベント参加費
(2)印刷代
(3)搬入代
(4)会場までの交通費
(5)イベントカタログ代
(6)原稿料
(7)「売り子」への日当
などが挙げられる。
これらはどれも「経費として認められる」(税務当局)。

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2010年09月01日

平成23年度税制改正 焦点は「消費税」から「環境税」へ

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江貴之

9月14日の民主党代表選後の党内体制が、参院選の大敗によって一層不透明となり、政府税制調査会は「代表選が終わるまでは動きようがない」(税調関係者)状況に置かれている。
菅直人首相(民主党代表)の続投でさえ確定的ではなく、首相が代われば、税制改正への政権のスタンスも変わってくるので、事実上「長い夏休み」に入っている。

消費税を含む税制の抜本改正は困難になったものの、それ以外にも平成23年度税制改正の課題は山積している。
そのひとつは、同22年度税制改正大綱で「同23年度実施に向けた成案を得る」と明記された環境税だ。
昨年の環境省案では、全化石燃料に上流段階で総額約1・1兆円を課税し、さらに石炭へは同約300億円を追加で課税する。
ガソリンへの上乗せ課税の一部は軽減して、ガソリン1リットル当たりの税額を現行から5円下げて理解を得ようとしたものだ。

一般消費者に近いガソリン価格は減税となるが、全化石燃料への課税となるため、石炭や電気、ガスには増税となり、エネルギーを多く消費する産業界の反対は根強い。
昨年の税制改正大綱を策定した鳩山由紀夫前首相は産業界に距離を置いたが、菅首相は産業界に接近しており、産業界への幅広い増税に踏み込めるかは不透明だ。

民主党政調に設立される税制改正プロジェクトチーム(PT)の出方も関係しそうだ。
PT座長の五十嵐文彦衆院議員は、野党時代の民主党が環境税案を策定した際の担当者。
PTが11月末にも政府税調に出す提言では、環境税導入を強く求めるのではないか、との見方が有力になっている。
年末に向けて環境税をめぐる綱引きが激しくなりそうだ。

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2010年08月27日

税負担か、それとも保険料か―― 岐路に立つ基礎年金制度

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

2011年度予算の焦点として、基礎年金の国庫負担率2分の1を維持するための財源問題が浮上している。
基礎年金の財源は、国の一般会計からの繰り入れと、加入者の保険料で賄われている
国の負担割合は国民年金法改正で従来の36・5%から2009年度以降は2分の1に引き上げられた。
従来の負担割合のままでは保険料の急上昇が避けられないため、これを抑えるための措置だった。

借金で賄うのは本末転倒のため、年金法には「安定財源を確保して実施する」と明記されている。
当然、消費税率の引き上げを念頭に置いたものだが、2008年の景気急悪化で増税が不可能となったため、2009、2010年度のみの「臨時措置」として財源を財政投融資特別会計の積立金の取り崩しで賄うことで負担率の引き上げを「見切り発車」した。
2011年度予算編成では、このとき財源を先送りしたツケを払う構図だ。

安定財源確保には、大幅増税が必要だが、参院選大敗で状況は絶望的。
再び埋蔵金でつなぐ場合でも、年金法の再改正が必要で、ねじれ国会の中で承認されるかは不透明だ。
財務省内には「消費税論議ができる政治状況になるまで、元の36・5%に戻すしかないのでは」との声すら出始めている

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2010年08月25日

現実味帯びる法人税率引下げ 内閣府白書で提言――

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

内閣府がまとめた2010年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、日本経済が力強い成長を実現するために、法人税の実効税率を引き下げ、企業の収益力強化を図ることで家計の所得を増やすべき――と提言した。

白書では、日本の法人税の実効税率(約40%)が先進国で最も高いとしたうえで、経済協力開発機構(OECD)諸国では、実効税率が20〜30%の国が国内総生産(GDP)に占める法人税収の割合が最も高いとの分析を示し、税率の引き下げが必ずしも税収を低下させない、いわゆる「法人税パラドックス」を持ち出した。

鳩山・御手洗では冷え込んでいた政府と日本経団連の関係も、菅・米倉に変わって関係改善に動いており、両者が会談する場面も増えてきている。
自民党も参院選マニフェストで法人税引き下げを盛り込んでおり、民主党が踏み込めば、今年の税制改正大綱の大ネタになる可能性もある。

ここで課題となるのは財源問題だ。
政府税制調査会は、税率引き下げと引き換えに課税ベースの拡大を求める方針で、租税特別措置の大幅削減は避けられない。
ただ「ナフサを除けばほとんどない」(財務省幹部)といわれる企業関係の租特には限界があり、難題のナフサ租特の取り扱いや非課税企業の条件厳格化などが焦点になりそうだ。

内閣府 経済財政政策ホーム−ページ
白書等(経済財政白書、世界経済の潮流等)
平成22年度年次経済財政報告(平成22年7月23日)HTML版・PDF版選択画面

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2010年08月23日

高齢者の行方不明問題 相続税はどうなった?

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

全国各地で100歳を超える多くのお年寄りの所在が分からなくなっている。
こうした行方不明者に関する相続はどうなっているのか――といった素朴な疑問も出てくるが、相続の世界では、被相続人が行方不明になった場合、行方不明になって7年が経過することで、配偶者や親族など利害関係者が家庭裁判所に「失踪宣告」の請求をすることができる。
宣告を受けることで「被相続人が死亡した」と見なされ、その時点で初めて法的な相続が発生する

相続税などの税務関係を考えてみると、失踪宣告は自動的に行われるわけではなく、親族ら利害関係者が行わない限り、実施されない。
そのため失踪宣告が行方不明から数十年を経た後に行われるケースもあるが、この場合、相続税額の計算は「行方不明になってから7年が経過した日」の遺産価額をベースとして行う

また、場合によっては、いつまでも失踪宣告を請求せず、相続税をうやむやにしているケースもあり得る話だ。
たとえば、親名義の家屋に親子で同居していたり、親の土地に子が家を建てて使用貸借としていたりするケースで、本当は親が失踪、死亡しているのに、意図的に失踪宣告を請求せずに行方不明の状態が続いていれば、実質的に子へ財産が移転しているにもかかわらず、課税が延々と先送りされていることになる。

こうした可能性について国税当局は、「そのようなケースは考えられる」としているが、行政上、こうした行方不明者は失踪、死亡したことになっていないため、「捕捉できない」(同)というのが実情のようだ。
どこか不公平な気もするが・・・。
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2010年08月19日

法人税基本通達が改正 グループ税制の詳細明らかに

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

平成22年度の税制改正で新たにグループ法人税制が導入された。
グループ法人税制とは、グループ内部の取引について実態に合わせた税制上の措置を講じるというものだが、今回法人税基本通達が改正され、細かい実務上の指針が示された。

改正通達で明らかにされた具体的な取り扱いは、
・株式の取得で『完全支配関係』となった場合、完全支配関係になった日とはいつか
・『自己株式などの取得が予定されている株式等』とは何か
・直接的・間接的に株を保有しないグループ内法人から配当を受けた場合の益金の扱い
・受贈益の益金不算入は金銭以外にも適用されるか
・完全支配関係が法人・個人両方ある場合どちらが優先されるか
・大法人から直接的に株式を保有されていなくても中小企業特例は適用外か
など。

グループ法人間での寄付金は、役務の無償提供など金銭がともなわない経済的利益を受けた場合も、利益を提供したほうで寄付金に当たるならば、受けたほうで益金不算入となることが示された。
中小企業向け特例措置の大法人の100%子法人に対する不適用については、完全支配関係とは間接保有の場合も含まれ、発行済み株式の全部を別の法人が保有していても、その別の法人の株全部を大会社が持っていれば完全支配関係になる――とされている。


国税庁ホームページより
法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)(平成22年6月30日)
平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制関係)

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2010年08月06日

もうすぐ終了エコカー補助金  法人なら圧縮記帳も

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エコカー補助金が9月末に終了することを受けて、全国の販売店では“駆け込み”商戦が活況だ。
補助金は、
・最初の新車登録から13年以上経過した自動車を廃車にしエコカーを購入した場合には25万円、
・廃車をともなわない購入に対しても100万円の補助金が交付される
というもの。
9月末までに新車登録が済んでいることが交付要件となっており、納車まで数カ月かかる人気車種への買い換えを検討している人は、そろそろタイムリミットとみたほうがよい。

また、次世代自動車振興センターによると、事業用エコカーに対する補助金は、国の予算304億円に対し、すでに293億円(7月26日時点)を超える申請が来ていることから、9月末を待たずして受付が終了する可能性が高い
そのため、経済産業省では「申請書が受理されても、申請額が予算を経過することで補助金が交付されないこともある」と注意を促している。
ところで、これから補助金を受け取る人は、その税務処理をきっちりと押さえておきたい。

補助金は、国の「環境対応車普及促進対策補助金」として交付されるものなので、個人であれば、総収入金額に算入されず、課税対象とはならない
また、法人であれば、補助金額の分だけ自動車の帳簿価額を減額し、その差額を損金とする“圧縮記帳”が可能だ。
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2010年07月30日

取引先が豪雨に襲われたら・・・売掛金免除・低利融資に優遇

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

豪雨による災害の発生が増えてきた。
取引先が被害に遭ったときの税務上の対応を考えてみる――。 
まず取引先の会社が災害に遭ったときに支出するものといえば「見舞金」だが、災害発生後取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内に送られるものについては、災害見舞金として交際費にはならない。
また、これは現金の包みに限った話ではなく、事業用資産の供与、役務提供のための費用も、交際費から除かれている

そのほか、通常の営業ができない相手に配慮し、売掛金、未収請負金、貸付金といった債権について、全部あるいは一部を免除することもある。
この免除したことによる損失の額は、寄付金に該当しない
すでに契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売の賦払金などで災害発生後に授受するものの全部または一部を免除するなど、「契約で定められた取引条件を変更する」場合も、寄付金にならない

売掛債権などの免除は、どのような方法で行われても問題ない。
しかし口約束だけでは後で確認がとれないため、書面で行うのが理想的だ。
書面は法律の専門家が作る公正証書でないとダメという取り決めはないが、最低限、税務署への説明ができる程度のかたちにはしておきたい

被災者支援として「低利、無利息の融資」が考えられる。
災害時の復旧支援目的であれば、融資は正常な条件の下で行われたとされ、寄付金認定されることはない。
融資の期間の長短や融資額は問われないが、見舞金同様、災害復旧目的としては「復旧過程にある期間内」にされる融資でなければならない。
融資額についても、復旧に必要な額を超える過度の融資は対象外となってしまう恐れもある。
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2010年07月23日

社員に対する住宅資金貸付特例 44年の歴史に幕を降ろし廃止

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

平成22年度税制改正により、租税特別措置法第29条で規定されていた「給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例」が同22年12月末いっぱいで廃止されることが決まった。
それを受け、このたび同特例にかかる法令解釈通達の改正が行われた。

同特例は、
(1)無利息または低い金利で会社から貸し付けを受けた場合の、通常より低い部分についての経済的利益
(2)資金を金融機関などから借り受けた場合において、会社から利子の全部または一部に相当する金額の支払いを受けたとき、それに相当する部分
(3)勤労者財産形成促進法に規定する事業主団体の講ずる勤労者の負担を軽減するために必要な措置を受けたとき、それに相当する部分
などについて非課税とされていたもの。

昭和41年の創設から44年間存続してきた本特例だが、近年は利用可能者が減少。
一部限られた人に対しての特例となっていたことから、「政策上有効とは言い難い」また「低利で住宅購入資金を借り入れているなどの優遇を受けているうえに、通常の貸し出し金利と比較したときの経済的利益について非課税となることに加えて、住宅ローン控除制度を併せて適用することが可能であり、住宅ローン控除制度のみを利用している者と比較すると平等性に欠けるため合理性は認め難い」として廃止が決定したもの。

これにより、同23年1月からは「通常より低利で貸し付けを受けている部分」や「利子の支払いを受けている部分」などが給与として所得税課税対象となる。
課税所得金額が増えることで住民税などにも影響が出てくるので注意が必要だ。

国税庁ホームページ:
「租税特別措置法に係る所得税の取扱い≪源泉所得税関係≫について」の一部改正について(法令解釈通達)
URL:https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/kaisei/990423/sozei.htm
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2010年07月16日

さようならワールドカップ 売れ残りグッズは評価損計上

税理士 名古屋/名古屋市の税理士 細江会計事務所

世界中が熱狂したサッカーワールドカップ南アフリカ大会。
われらが日本代表も、ベスト16にまで進出する健闘をみせた。
予想外の快進撃に、関連グッズの売り上げなどによる経済効果も予想をはるかに上回る規模に達したようだ。

しかし、すでにワールドカップは終了し、グッズの売り上げは今後、落ち込む一方。
不良在庫を嫌う一部の小売店では、“セール価格”でグッズを売り出しているようだ。
ただ、すでに商機を逃した商品だけに、仮に仕入れ値以下の価格で販売しても、すべて売り切ることができるとは限らない。

ワールドカップ関連グッズのような「流行に左右される商品」が売れ残った場合、それらの商品は陳腐化したものとして、評価損を計上することが可能だ。
通常、棚卸資産の評価損は、商品が破損するなど物質的な損害があった場合に計上するもの
しかし、「今後明らかに通常の価格で販売できない商品」についても同様に評価損を計上できる。

ただ、この「今後明らかに通常の価格で販売できない商品」には明確な基準がなく、税務調査の際にももめやすい部分。
陳腐化資産の評価損計上には、慎重な判断が求められる。

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