金融庁は貸し渋り・貸しはがし防止徹底に向けて、金融機関の融資態度を調べる集中検査を4月〜6月に行うと発表した。
メガバンクを含む大手行や借り手からの苦情の多い地銀などが対象。
具体的には、企業の期末越えの資金繰りや住宅ローンなど個人向けの融資に適切に応じているかを厳しくチェック、貸し渋りや貸しはがしにつながる融資・審査体制の不備が認められれば、業務改善命令など行政処分も辞さない方針だ。
同時に、世界的な金融危機で社債発行が困難になるなど市場での資金調達環境が厳しさを増していることを踏まえ、大企業・中堅企業向け融資の一層の円滑化も要請。
具体的には、大手行や地銀、ゆうちょ銀行などにシンジケートローン(協調融資)を積極活用し、社債償還などの大口融資にも積極的に対応するように促す。
また、信用保証協会の保証付き融資は「貸し倒れリスクゼロ」と扱い銀行の自己資本比率の制約要因としない特例措置を導入。
さらに、融資先企業の財務状況が一時的に悪化しても検査で直接的には問題債権と見なさない方針を示すなど政策総動員で貸し渋り解消を狙っている。
与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は、「年度末や新年度入りを前に中小企業だけでなく、中堅・大企業の資金繰りも厳しさを増している。
金融庁の集中検査など新たな措置は当局の権限で銀行を指導する趣旨ではなく、官民あげて金融・経済危機に対応して行こうとのお願いだ」と説明している。